現在の中学受験の環境を考えると塾以外に個別指導塾や家庭教師の力をフォローとして使っているご家庭が非常に多いと思います。しかし、そういったご家庭のほとんどが上手くいっているとは言えない状況です。
まず私の思う結論を言ってしまうと、個別指導塾や家庭教師紹介センターなどを通した指導では成績が上がることは非常に厳しいでしょう。では、何故成績が上がらないのかを今回は説明していこうと思います。
個別指導塾
各路線と様々な駅にある校舎
まず個別指導塾について話しをすると、こういった塾は本当にそこかしこに校舎が存在します。どこかの駅に降りると駅前には何かしらの個別指導塾があると言っても過言ではない程に目にすると思います。だから駄目なのだという証明になるのです。
もしこれが病院だったのなら
個別指導塾の大半は何も中学受験だけということはなく、高校・大学受験まで行っています。これを病院で考えると総合病院とみなせるでしょう。つまり、総合病院が各路線の様々な駅に存在しているということです。そんなことが常識的に考えられるでしょうか?
例えば、何でも診療・治療が出来ますとうたう総合病院が電車の各駅毎にある、次の駅で降りてもその次の駅で降りてもある、これを見た時にみなさんが思うことは『これって本当に総合病院なんだろうか』や『こんなに総合病院ってあるの』という疑問ではないでしょうか。
風邪レベルの症状だったら
そんな胡散臭い総合病院、それでも風邪で体調が悪くなった程度の診療であれば受診してもそれほど影響はないのかもしれません。つまり学校の勉強の補修ぐらいであればそれほど深刻でもありませんから、そういった塾でも良いのかもしれません。
しかし、中学受験というのであればそれは外科手術レベルに相当すると思って下さい。
流石に脳開頭手術などの高難度とまでは言いませんが、開腹しての内臓手術ぐらいのイメージはあります。個人的にはいくらやりやすい手術の代名詞である盲腸手術でも胡散臭い総合病院で受けたいとは思わないです。
しかし、そういった個別指導塾に中学受験のフォローを頼むことを選ぶ保護者はいるのが現実です。
私はそういった結果メチャクチャな状況になり立て直しも厳しくなってしまった子供を何人も見てきました。切に望むことは、こういった現実を知って頂き一人でも多くの子供が本当に意味のある指導を受けられる環境に身を置けるようになってもらうことです。
家庭教師紹介センター
家庭教師紹介センターって何をしているの?
皆さんは家庭教師紹介センターは何をしているかご存知でしょうか?
ネット検索をするとそれこそ星の数ほど様々な会社が出てくると思います。私もその全てを詳細に知っているというわけではありませんが、大半の会社で行われていることは
登録された人を希望に応じてあてがっているだけ
です。
私も大学生時代に登録していた経験があります。そこでは研修も勉強もあるわけではありませんでした。その時代から現在に至っても、登録した経験のある人の誰に尋ねると『そんなことはなかった』と皆が口を揃えて言います。これが家庭教師紹介センターが行っている業務になります。
指導の質が悪いたった一つの理由
個別指導塾でも家庭教師紹介センターでも結局講師の質、指導の質が悪い理由はたった一つで人材不足ということに尽きます。
色々な会社を合わせると関東圏に千どころかもしかすると数千ほどの校舎があるかもしれない個別指導塾、検索すると星の数ほど出てきて中には登録者が数百人を超えるという家庭教師紹介センター、これらにそれぞれ優秀な講師が所属しているとしたら日本は人材の宝庫だと思えます。
しかし、大半は大学生アルバイトになります。これが現実なのです。
社会人講師はどうなの?
中には大学生ではない社会人と言える年齢の講師もいるでしょう。この人達はどうなのかと言うと、結局は厳しいと言えます。
あえて『プロ』ではなく『社会人』と表記したことが私が思うことの表れです。
考えても見て下さい、何故SAPIXやgnobleなどの集団塾で指導を行わないのでしょうか?それは大半の人たちがそこで指導を行えるレベルではないからと言えてしまいます。
他には、組織を作ることを嫌うタイプの講師もいるとは思います。しかし、そういった野に潜んだ優秀な家庭教師もいないわけでは無いとは思いますがそういう人物は同時に個別指導塾や家庭教師紹介センターには在籍はしないと言えます。そして、本当に優れた指導力のある講師はそう簡単にはいないということも現実です。
結論
基本的に、個別指導・家庭教師紹介センターからの指導では中学受験を好転するのは難しいです。
中には、良い個別指導塾や家庭教師紹介センターに登録している講師もいるかと思いますが見つけることは非常に難しいと言えます。
まだ、可能性があると思えることは家庭が優秀な講師を探すことだと思います。
結局は優秀な講師の数は限られている
家庭教師歴何十年で毎年御三家への合格者の指導をしている、このような豪華な口上の家庭教師に習っていた子供の指導を以前に頼まれたことがあります。蓋を開けてみるとその子との相性などの表層的な問題ではなく、単純に教えている内容が低レベルでおかしいの一言でした。20年以上前の感覚で教えているような内容が散見しており、その上で目が飛び出るような金額で指導しているというのです。
そういった意味で家庭教師や個別指導の実績というのは眉唾物ということはどうしても言えるのでしょう。仮に実績が本当ならば自分で塾を起こして新たな時流を作ることが出来るほどのレベルです、本当にそれほど優秀な人が沢山いるのでしょうか?
講師のPRの良し悪しの区別
決して上記のような人だけではなく、本当に指導力のある人はいるとは思います。しかしその絶対数がどうしても少ないため口上などを信用すると巡り合う確率はとても低くなってしまうのでしょう。
では、一体何を基準に選定すれば良いのかということはとても難しいことになってしまいます。
まともな講師であれば、言動から『この人は胡散臭いな』や『自分のことしか考えず事なかれだな』と見分けは出来ます。しかしそういったことは中学受験における確かな知識や経験が無ければ難しいでしょう。それを持たない保護者目線では講師の良し悪しの選別は本当に厳しいです。
6年生α1を担当するという意味
手前味噌になってしまいますが、私は以前に所属していたSAPIXにて6年生α1のレギュラーを担当していました。
これがどういう意味を持つかと言うと、関東圏のSAPIXの校舎数は40ほどになります。つまり当たり前ですが、6年生α1コースは各校舎に一つづつしかなく年に40コースしか無いということになります。そうなるとその担当もまた、各科目(算国はAB授業に分かれますが)での40人しかいないということです。この記事を書くために自分でも改めて考えてみましたが、これはかなりスゴイことなのだと思います。SAPIXに登録している非常勤講師は各科目ざっくりと見て千人以上はいると思いまが、その中の毎年40人に絞られるということです。
ネット検索をしてみると、個人組織を問わず元SAPIX講師という方はたくさん見つかります。しかし、6年生α1コースを担当していた経験があると明言している講師は私の知る限り他に数人いるだけです、私の仲間も入れてです。色々と探したつもりですが、それでもそれだけしか見つけられませんでした。
良くて6年生の上位コースなどのぼやかした言い方になります。察するに、かなりの人数が6年生のレギュラー担当をしたこともないのでしょう。それでも、元SAPIX講師と名乗れるわけです。本当にこういった人たちに依頼をして改善されるのでしょうか。
SAPIXに通い思ったような結果が出ない、それを改善するために家庭教師にフォローを頼もうと思う、でもその頼む人物が当のSAPIXでの確かな指導経験がない、もしくは同等の進学塾にて相当するような指導実績を持っていない、これで良くなると思えることが私にはよく分かりません。
解決策
講師のPRの何がポイントか
せっかく探して見つけた家庭教師、でもその人が良いのか悪いのか分からない。
先程保護者が良し悪しを見分けることはとても難しいとお伝え致しました。とはいえ、何もないというのも寂しいですので確実とは言えませんが少しでも確率を上げるために何がポイントかをお伝え致します。
・鵜呑みにしてはいけない内容
①実績
講師のサイトにて御三家○○人、筑駒○○人、豊島○○人、早慶○○人、渋渋・渋幕○○人などと非常に華やかな実績が書かれていることがあります。しかし、これは話半分ぐらいに受け止めましょう。
理由は単純です、本当なのかどうかは確認出来ないからです。一応犯罪行為ではありますが、この数字は子供の個人情報に関わりますからどうやっても確認出来ません。言ってしまえば、書いたもん勝ちな内容なわけです。真偽の程は闇の中です。
②オンライン
オンラインを指導の選択肢に入れるような人は私は最初から関わらないほうが良いと思います。中学受験でのオンライン指導ははっきり言って無理です、時間の無駄です。
2020・21年であればある程度は仕方ないとは思いますが、それ以降になってもオンラインを望む講師は単純に自分のメリットしか考えていません。そんな人に依頼しても事態が良くなることは極めて低い確率でしょう。
やる気や褒めるなどの言葉を多用する人
これは家庭側に対しても言えますが、『やる気』や『褒める』もしくは『勉強を好きになる』・『楽しく』などの耳触りの良い言葉を好むなら中学受験には関わらないほうが良いと思います。
受験の本質は『競争』です。誰が何を言おうとそれが真実です。その本質から外れたことを言う講師や外れたことを望む家庭の両方ともが中学受験には関わっても不幸になるだけです。そのような甘い考え方であるならば、わざわざ関わらないほうが良いと思います。日本には高校受験や大学受験もあるわけですから。
非常に辛辣な物言いで申し訳ありません。ですが、これは真実です。中学受験をするならば甘い考えは禁物です。それが嫌ならば、中学受験をしなければ良いのです。
・確認すべきポイント
①経歴
講師の指導経歴、特にどこの塾でどういったコースを指導していたのか、これを確認しましょう。
集団塾で指導を行った経歴も無い場合はそもそも論外だと思います。その上で、上記の経歴を確認して判断すべきです。ぼんやりとした経歴の人は、指導力もぼんやりとしているものです。
実績ではなく何故経歴なのかと言うと、経歴を詐称することは犯罪です。詐称し依頼を得ることは刑法の詐欺罪に当たります。実績についても犯罪ではありますが、経歴は本当かどうかを実際に確認することが可能です。そのため、実績よりは格段に嘘は載っていないと言えるでしょう。流石に犯罪者には誰もなりたくありませんから。
②指導方針
その講師の指導方針の内容を確認しましょう。そこに講師の考え方が詰まっています、それを読めば大体どういう人物なのか判断できるでしょう。そこで合わなければ、次の人を探しましょう。
私もサイトにてオブラートにはあまり包まず、はっきりと厳しい現実をお伝えしております。それは、こういうことを嫌う家庭とは関わらないほうがお互い幸せだと考えているからです。
記載が無い場合は論外です、講師がまともに指導を考えていない証拠です。
③厳しい話をしているかどうか
第一志望に合格する確率はだいたい30%と言われています。これが現実です、この現実に対して『何とかなる』や『今からでも大丈夫』などの希望に満ちたポジティブな内容が多いならば、中身は無いでしょう。
一度でも、本気で子供の中学受験に関わったならば第一志望に合格することがどれほど難しいか分かるはずです。分かっているのならば、安易にポジティブな内容など書きません。もし分かって書いているのならば、子供のことは考えずただの集客しか考えていない証拠でしょう。
現実は非常に厳しいものです。まだ12歳の子供が過酷な受験に向かうのです、上手く行かないこと・甘えが出てくることは当然です。その変えなければならない現実を無視せず、向き合うことを話しに出さない講師では厳しいでしょう。
これは実際に会って話しをしていく中でも分かることだと思います。
まとめ
- 個別指導塾や家庭教師紹介センターでは中学受験を改善するには厳しい
- 自分で優秀な家庭教師を探す方が確率は高いと言える
- しかし保護者が講師の良し悪しを見分けることは難しい
- それでも確実とは言えないがポイントを見て、確率を上げることをやろう
SAPIXに通い思ったような結果が出ない、それを改善するために家庭教師にフォローを頼もうと思う、そうであるならば目的に沿った人物に依頼せねば目的が達し得ないことは道理として筋は通るでしょう。
しかし残念ながら世の中には甘い水に誘い、6年生の1月まで授業料を支払わせることだけを目的とした講師や組織がいます。もちろん、それで良いならば勝手にして頂ければと思いますが違うのであるならば、厳しい現実に向き合い少しでも目的に近付く道筋を一緒に考え助けてくれる講師を探しましょう。