【SAPIX 算数】入試を成功させるための6年生のポイント〜平常編(前期)〜

SAPIXの使い方
注意!!
今回の内容は5年生から6年生の初期(だいたい春期講習前ぐらい)の頃の方向けの内容になっています。
受験直前のご家庭には、オススメいたしません。

東京神奈川での中学受験は2/1から始まります。しかし、再三お伝えしている通りこの試験日には大方の結果はすでに決まっています。本当の意味で競っている子というのはボーダー付近で争っている子たちになります。では最後に競える状態になるためにはどうすれば良いのか、それにはまず6年生に何がありどういう流れになっているのかを知ることが肝要です。
今回は受験学年である6年生の時期ごとの教材への理解とレベルごとの必要なポイントを8年間SAPIXの算数講師を勤め6年α1〜Aコースまでのレギュラーを担当した経験から説明致します。長くなってしまうため、前期・後期を分けて説明致します。

平常授業の概要

SAPIXでの6年生平常授業は火・木のどちらかに理科とセットで(稀に社会とセットの校舎もあるようです)、B・A授業が各80分の計160分になります。

・曜日:火曜日と木曜日⇒科目はブロックごとに交互に変わっていく
・時間:17:00〜21:00の4時間
・コマ数:80分✕3コマ(算国:BA授業の2コマ・理社:1コマのセット)


5年生までとの大きな変更点としては、B・A授業で同じ内容を進めていきます。つまり、一つの内容をB・A授業で習うことになります。これは一回の授業で扱う内容が多くあるため、B授業だけでは終わりきれなくなってしまうからです。

平常授業の配布物

授業で配布される教材は3種類になります。
①デイリーサポート
②デイリーサピックス
③デイリーチェック

授業前に行う、基礎力定着テストはオマケになりますので割愛致します。
上記の3つの教材の詳細は下記になります。

デイリーサポート

授業で扱う教材はこのデイリーサポートです。
デイリーサポートの5年生との変更点としては、冒頭に『導入と基本編』が加わることと『確認編』が『実戦編』と名称を変えますがこれはほとんど意味はありません。

構成は3部と追加の内容になっており詳細は下記のようになっております。

①導入と基本

単元内容の4・5年時までに習う基本的な知識の確認ページで毎回3枚構成です。表裏は同じ内容で、裏面は復習用です。校舎の下3分の1ぐらいのコースではだいたい毎回扱うことになるでしょう。それ以外ではたまに扱うときがあるぐらいの内容です。

②アプローチ

実質的なその回の練習内容になります。特徴としては、解説は無し・解答の数字のみ記載ですがこれは5年生から変わらないですね。表裏で内容は変わります。量としては①〜⑧前後までの約8ページ構成になります。
ページはゆるく内容でくくられており、各ページの作りは一枚に左右2つのテーマごとの問いが一つずつあり、下にそれぞれ上の問いの数字替えが用意されていることが基本となっております。たまに上下で同じテーマでも解き方が全然違う問いが載っておりますが、担当がポンコツでなければ必ず上下ともに練習するはずです。
基本知識の練習で6〜8個の少しずつ数字や内容を変えた同一問題が用意されている時や、逆に応用的な大問として1ページに1つの問題だけ配置されていることもあります。
並んでいる順番は割とバラバラに感じます。大まかに前半はその単元での基本的事項、後半に行くほど応用的な内容が多いですが必ずしもとは言えない構成になっています。
基本的にアプローチを最後のページまで学習することになるのは最上位ブロックだけです。大校舎だと、αブロックでも全ては扱わないブロックもあります。

授業ではアプローチを学習し実戦編の対応する問いを家庭学習にしているケースが大多数です。まれにこだわりのあるα担当講師の中には逆に実戦編を授業で扱い、アプローチを家庭学習にするケースもあります。
講師の中にはアプローチを授業で扱いその復習をやりなさいと指示する人もいますが、個人的に書き込みのある問題を見ながらどうやって復習をするのだろうかと疑問は感じます。

③実戦編

アプローチの問題を難易度順に並べ直した数字替えの問題です。毎回A〜Eページまでの5枚の内容になります。表裏で同じ内容になり、裏面は復習用です。まれに、アプローチに載っていない問いも出ているときがあります。

【追加】立体切断

春期講習を終えた4月の授業から新たに追加されます。文字通り立体切断の練習用のページです。毎回の内容と前回の復習の2ページになります。

デイリーサピックス

家庭学習用教材です。サポートの内容を数字替えを行い、再編集したイメージです。構成としてはサポートにおけるアプローチと同じくテーマごとに内容をくくり並べています。

デイリーサピックスは直接書き込んで解くような類の問題集ではありません。専用のノートを用意しそこに解くようにしましょう。時々、図形の単元はどうするんだと聞かれますがその際はノートに自分で作図を行えば良いのです。デイリーサポートとは違います。
※コピーを取るケースでは構いません。

デイリーチェック

前回の内容を確認する復習テストです。

・内容
大問1⇒基礎トレの問題数字替え 全10問/各5点で計50点
大問2〜8⇒前回の単元の内容 計150点
合計200点満点

・時間
25分前後が基準です。講師によりいつも同じ時間だったり毎回異なっていたりと違いますが、些末な差ですからどちらでも良いです。ただ、良く分かっていない大学生などが無茶苦茶な時間設定で行うことがあります。この時はしっかり文句を言いましょう。

・レベル
H・M・Lの三段階ありコース毎に使い分けています。明確に校舎の3分の1コースずつに分けているわけではなく、その年ごとの実力でどうするか分けています。
大問1の基礎トレからの出題は3レベルともに共通の問いになります。そして、大問2からの出題がレベルごとに異なります。たまにレベルHでは嫌がらせなだけにしか思えないかなりきつい数字設定なども見受けられますが、最上位を目指す場合はそこまで必要になるのだと納得しましょう。

デイリーチェックは高得点が取れるテストです。それは前回の授業で扱った問題の数字替えや少し形式を変えた問いが出題されるからです。8・9割取れることが至って普通である認識を持ちましょう。その上で、それを達成できないことを前期中に改善することが一番重要です。

前期:2月〜夏期講習前

デイリーサポートについて
①毎回の単元別の内容

偏差60前後以上の子
このレベルの子供であっても基本的には毎回の授業の内容を確実に理解し出来るように復習するということは変わりません。むしろこの基本をおろそかにしたことで後期に成績下降を辿る子も毎年少人数ですがいます。大事なことは難しい問いを解くことだけが最上位校の合格に繋がるわけではないことを理解することです。この時期の最重要事項は絶対に基礎の完成です。復習の質云々よりは結果にこだわらせる方が上手くいくレベルの子が多いと思います。

・デイリーチェックH
毎回満点を目指す。調子が悪くても180前後に留める。最上位校を合格している子の多くは本当にこのレベルを達成している。100を切るようなことが一度でもある場合は黄色どころか赤信号が灯ったと思って差し障りはない。最上位校を目指すのであれば、即座に補強を行わなければ怖い。

・入試問題演習
校舎によってはデイリーではなく『入試問題演習』を行うこともある(もしくは両方)。この場合は行っている他校舎も含めた全員分の結果が張り出されるはずなので、それを確認し自分の立ち位置を確認しよう。それを元に自分がトータルで勝つにはどうすれば良いのかを考えることが出来るはず。流石に入試問題演習を毎回安定して取れることは難しい。復習をしっかり行えば入試に向けて十分と言える。優先順位で言えばデイリーチェックが優ると思える。

偏差55前後の子
最上位校にも到達出来るレベルで戦える子と今後ズルズルと成績を下げ下降線を辿ってしまう子が混じっている層です。このレベル帯の子の場合は復習の質が非常に大事です。それはデイリーチェックが良かったとしても今後もその単元が出来る子とその時だけ出来る子に分かれてしまうからです。
この差を生み出す最大の要因が復習の質です。その時だけ集中的に似た問題を練習することで短期的に覚えるやり方で学習してしまう癖や習慣を持っている子供が多くいるのもこの層です。大事なことは短期的に覚えたことは短期的に忘れてしまうということです。
なんとか5年生までそのやり方で成績を保ってきても、限界を迎える時期でもあります。そしてこういった子たちは逆にもったいないとも言えます、5年生まででも結果が出ていることは本人に力がある証明と言えます。それを最終的にやり方の不味さで潰してしまっていることは指導側の立場としてはもったいなく感じます。

・デイリーチェックHかM
180点前後の結果を取ることを習慣化するようにする。中には2・3月の単元の内容が軽い(ほとんど5年の復習)ため、甘く見て手を抜くことをする子も毎年現れる。そのため、本格的に内容が重くなってくると点数が悪くなるなどの危険も。点数が悪くなくても、デイリーの間違い方のチェックは必須。大問1をいくつか間違えている・飛ばして大問2以降を解き1は時間切れ、などのケースは基礎トレをサボっていることや練習不足でのスピードの足りなさの証拠。特に基礎トレのサボりは後々非常に大きな差として現れるため絶対に早めに対処すべき
100点前後の結果を何度か取る子もそもそも絶対に早めに対処すべき。特に女子で女子校の算数は難しくないからなどの言い訳を考えている子や家庭が一部にいるがこれは本当に無意味。こういった結果を出してしまう単元は確実に基礎から理解していないことが言える上に、前期のサポートのレベルは入試での基礎以下なのでこれに対応できないレベルでは結局入試でも大きく穴を開けてしまう。もちろん、男子ではもっと強く言えることは言わずもがな。

偏差50前後の子
上位校を目指せるかどうかの分水嶺と言えます。授業の受け方・復習の質次第では今後の伸びで上位校も十分に考えられると思います。特に実力的に上位校以上は厳しくても諦めきれない家庭が多いのもこの層に感じます。夢で終えるか現実のものとするかはこの時期の学習の質に大きく左右されます。
まずは何度も練習ししっかり同じ問題を解けるようにすることをやりましょう。もちろん、先程のように覚えるだけの学習ではもったいないですが、出来ないよりは100倍マシです。その上で、最終的に上位校以上を目指したいのならば学習の質を上げるための補強を考える必要があります。ここからさらに上に上がるためには勉強の質を高めることが必須になり、それを子供だけで身に付けることはもう無理な可能性が高いと思います。だから、本気で上位を望むなら塾以外のフォローはお考えください。

デイリーチェックM
160点以上を毎回取ることをまず考える。そこから点を5点10点と上げていき、大事なことはそれを毎回続けるということ。その上で得意な単元・苦手な単元などが見えてくるため、休日や講習前後などの空き時間がある時に補強することをスケジューリング出来る。

偏差45以下の子
まず学習習慣や学習の質にテコ入れをしなければズルズルと成績が下降するだけかもしれません。中には頑張って復習を行っているケースもありますが、学習の質が低いため結果に繋がらず可哀想な事になっていることや5年生までの内容の理解不足での空回りも見受けられます。本人だけの学習はもう無理だということを保護者が理解し、補強を考えてあげることが賢明です。補強の意味が、授業の補いや方向性を示してあげることなのか監視も含めてなのかは子供次第です。強く意識してほしいことは、このまま続けても上手くいかないという現実を保護者が認めることです。そこから全てがスタートします。

デイリーチェックL
確実に150点以上を取れるような学習を行うことが第一目標です。デイリーチェックは基礎トレ・サポートの復習を何度も行えば確実に取れる内容のテストになっています。そもそも授業と同じ内容のデイリーで点を取れなければ、違う形式でも出るマンスリーや組分け、さらに入試でも点を取れないことは自明の理であることは明白です。

このまま同じことを続けても良くなることはほとんどない、この現実を認め受け入れることは辛いことですが保護者が辛い現実と向き合う姿勢が子供の受験の成功をもたらします。
子どもたちとは別にもう一つ考えなければならない重要な問題があります。
それは、講師の質という問題です。

上位層からミドルぐらいに掛けては非常に力のある講師がどの校舎であっても必ず配置されます。それは絶対に守られますので一切心配なさらなくても大丈夫です。もちろん、相性はありますが。

問題は、下3分の1の層を担当する講師の質ははたして良いのかどうか、ということです。校舎が多く増え生徒数の上昇に伴いもちろんコース数も増えております。その増加に対して、講師数が間に合っているかと言うとそんなことはありません。必然、どこかにしわ寄せが起きます。
私感ではありますが、3ブロック以上ある校舎の3つ目のブロックには指導力があると言えるレベルではない講師が入っていることが多いです。特に単独のコースしか無いブロックは本当に期待は出来ません。後期には消滅する可能性も高いため、あてがう講師もそのレベルであると言えます。
下記のポイントに一つでも当てはまる講師の場合、指導力に期待は持てないでしょう。
・大学生
・授業の受け方について指導をしない
・結果に関して何も言わない
非常に残念ながら、このまま同じことを続けても好転することはほとんどありません。かといって転塾をしてもどこの塾でも同じ環境ですから意味はありません。最善は補強を行い、そのブロックを抜けることです。実力を伴った形で上のブロックに上がれることが、そこでの授業に遅れずついていける唯一の方法です。

一つ補足を行いますと、先程も少し触れましたが成績下位の層に指導力が乏しい講師をあてがうことはSAPIXだけに限らずどこの塾でも同じ状態です。業界全体で言えることの上に、もっと言えば教育界全てで言えることかもしれません。そういった劣悪な環境から抜け出すことの出来る子供は本人か保護者のどちらかに強い意志を持っているからでしょう。

②立体切断
春期講習を終え、4月の平常授業が再開になった回からデイリーサポートに立体切断のページが追加されます。これはその回の単元とは全く関係なく独立した内容として学習していきます。

立体切断
全レベルの子供が練習すべき内容です。現在、立体切断は最上位から中堅校までも含めて様々なレベル帯で男女共学問わず出題をされています。今まで出題をされなかった麻布でも近年出題が始まりました。というわけで、全レベルの子が練習すべきです。
正直、前期の立体切断は基本的事項の練習となりますから簡単です。あるレベル以上の子になると特段何の負担とも思わず出来るはずです。前回の復習を行うと思いますので、そこで理解できているかは確認できます。

※問題となるのは一番下のブロックの子供たち
ここで一つ問題が生まれます、それはABCコースぐらいの子供たち向けの内容が非常におざなりになりかねないということです。上述の通り、進学塾でも下の層になると事なかれの講師が入ることが多くただただ時間だけ流れて行くことが多いものです(SAPIXだけでなく業界全体同じ状態です)。その中で、特に立体切断はデイリーサポートの内容とは独立しているため優先順位を下げ本当に少し触れるだけ、酷いケースでは一切触れないということも起きてしまいます。また、扱うと言っても大学生に丸投げしてクオリティが非常に問題のある内容で結局全然理解できないままということは普通に起きています。

本来は立体切断の仕組みを理解すれば、結局同じことをずっと繰り返している、ぐらいの印象になることを行っています。それが前期中に身に付かない場合非常にマズいといえます。

家庭学習のポイント

家庭学習は各コース一律ではありません。基本的なイメージとしては、授業内で扱った問いの実戦編・デイリーサピックスで対応している問いを復習することになります。

前期の家庭学習において一番重要なポイントは下記の3点になります。
①何度も練習する
②バツ直し
③①・②も含めて前期の家庭学習は必ず1週間で回せるようにする

では、何故上記の3点が重要になるのかをご説明致します。

①何度も練習をする

家庭学習の質に影響を及ぼすものは色々なポイントがあります。その大きな一つとして、何度も練習しているかどうか、があります。これは文字通り、同じ問いでも何度も練習しているのかどうかということです。じゃあ毎日毎日やった問いをやり直し続ければ良いのか、というとそういうことではありません。

まず、授業にて指示される家庭学習は基本的に実戦編・デイリーサピックスの範囲だと思います。つまりこれだけで最低3回同じ問いを練習することになります。
①授業中のアプローチ⇒②実戦編⇒③デイリーサピックス
前提として、これは最低ラインで守るべき内容です。決してこれが出来てスゴい、というレベルでは無いということです。
その上で、さらに出来ていなかった問い・出来たとしても怪しい問いを繰り返し練習出来ているのかどうかということです。

例えば、このようなスケジュールが考えられます。

火曜⇒授業
水曜⇒実戦編の練習
週末⇒デイリーサピックスの練習
月曜⇒出来ていなかった問い・怪しい問いの再度の練習

木曜日が授業の場合は、このスケジュールが少しずれるだけでしょう。
これだけ繰り返し練習すべきです。しかも教材としてアプローチ・実戦編・デイリーサピックスと3つも数字替えを用意していることはかなり親切と言えます。

②バツ直し

これは最後までずっと付きまとう子供の習性との戦いになります。昨今の子供の復習の質はどんどん悪くなっていますが、とりわけバツ直しはまともに行わない代表格です。

たいていにおいて、行っていることは赤ペンで解説を写すという行為です。これは私だけでなく様々な勉強のアドバイス系の内容の中で否定されているやり方です。しかし、今だに非常に多くの子供がこの赤で書き写すという行為を止めていません。本当に何故これほど根強く浸透しているのか私はよく分からないんですよね。

はっきりと言ってしまいますが、この赤ペンで解説を写すという行為に算数の学習的意味は何一つありません。たぶん字の練習以外にはならないでしょう。それでも子供たちが続ける理由はこのようなことではないでしょうか。

  • 理解した気になる
  • 勉強をした気分になる
  • 習慣から?(小学校で習ったという子供もいるため)

上記の理由を見て頂ければ、意味は無いということを理解して頂けると思います。
では、バツ直しはどうすれば良いのでしょうか。

一番大事なことは、改めて解き直す、ということです。
学問として考えれば解説は見ず、ずっと考え続けいつか答えが出てくることを待つことが正しいです。しかし、中学受験には明確な期限があります。その中で効率的に学習するには、上記の学問的とは違う観点で問題を捉えなければなりません。そのためには、やり方を確認しその後解き直すという行為が必要になるわけです。手順としては下記になります。

①✕の問いの授業中のノートか解説を確認する

②間違えた理由・どのような流れで解くのかを理解出来なければ質問に回す

③理解できた場合は時間を空けて(理想は次の日)問題だけを見て、新しく解き直す

ここまで行い、その上で授業の前日などに再度解き直すことを行うことが私の言うバツ直しです。

上位生の中では保護者が単元ごとの✕の問いのチェックを行い、マンスリー前などに再度解き直しを行っているケースもあります。これもまた上手くいくケースと上手く行かないケースに分かれます。違いは形式的に陥っているかどうかでしょう。バツ直しも子供が本当に内容を理解し、それを練習し定着するようにしなければ意味はありません。上手くいく場合は保護者が子供の理解をチェック・管理して確認しています。逆に上手くいっていない場合は、これがただ形式的に作業と化しているにすぎません。保護者がチェック・管理に自信がなければ外部にフォローを求めることが最善です。

③ ①・②も含めて前期の家庭学習は1週間の中で必ず回せるようにする

学習量というのは年を追うごとに増大していきます。6年生の前期は5年生の後期に比べて、約2倍ほどの学習量を求められるイメージです。それに対して『終わらない』という相談が毎年出てきます。しかし、終わらせて下さい。終わらせなければならないのです。その理由は下記の2つになります。

  • 前期の家庭学習が終わらないのであれば、後期は全く追いつかなくなる
  • 終わらない現状を変えずに好転はしない

前期と後期の関係性

物事は常にゴールから考えましょう。最終的な状況は受験直前の6年後期です。
その後期の日程は前期の授業へさらにSSと過去問が加わっていきます。これは体感的に前期の2〜3倍の学習量になります。そう考えると、同じ1週間でも前期はまだまだ余裕があるのです。その段階で終わらないと言っていては後期どうなるのでしょう。本当にそのまま行けば崩壊しグダグダなまま2月を迎えます。だから終わる終わらないではありません、終わらせるのです。

終わらない本当の理由

終わらないという相談の中、状況を聞くとだいたい終わらない理由が見えてきます。その理由はやり方・知識の問題というものです。

やり方というのは終わるようにやるやり方でやれていないということです。知識というのは、そもそも5年生までの学習が不十分で現状のレベルに追いついていないことが原因です。どちらも今までの学習を抜本的に変えていかなければならないため、子供に対して保護者か外部のフォローが手助けしなければなりません。

この手の相談を塾にした際のよくある最悪の返答がやる内容を削るというものです。
上記の通り、内容を減らす行為ではその先に繋がる意味は全く無くただの保留策にしかなっていません。常套句に『練習をしていけば出来ていくので』というものがありますが、そんなことは決してありません。学習量を増やしていく方法は、今まで以上に学習する以外無いのです。結局、今までと同じことを続けても出来ることは同じです。変えたいのであれば、出来ない現状をまずは変えましょう。そのために覚悟を持つのは子供ではなく、まず保護者です。



まとめ

前期中の教材・家庭学習について説明させて頂きました。

最も大事なことは、前期で出来ないことは後期になっても出来るようにはならないということです。
前期というまだ時間のあるうちに終わらせる習慣や処理能力を培っていないのならば、後期になって変わることは相当難しいと言えます。
保護者と話をしていて感じることが、子供がなにかある瞬間からリセットされそこからすごく良くなり合格できると期待しているように見えることです。それは幻想です。前期・夏期講習・後期とそれぞれの期間はぶつ切りでリセットされるわけではなく連綿と続いているということを忘れてはいけません。
悪癖・悪習慣は誤解を恐れずに言えば負債・借金です。徳政令などという都合の良い手段はなく、行うべきは環境・状況を整え無駄な支出を抑え得られる収入を増やし、地道に積み重ねることだけです。それは中学受験でも同じことです。

本気で何とかしたいのならば、早い段階で改善の決意を決めましょう。
早ければ早いほど可能性は残ります、負の蓄積は最後になればなるほど積み重なってしまうものです。それこそ人生を通してかもしれませんよ。

最後に

SAPIXは上手に利用すれば必ず実力は付き成績は伸び、志望校に向けての可能性を高めることが出来るようになっています。それだけの練られた質の良い教材を用意しています。
逆に他塾では、これを使ってもと思ってしまう内容の教材で努力をしてもSAPIXには追いつかないだろうという環境もあります。
今現在SAPIXにお通いであれば、そのメリットを最大限に活かせるよう頑張っていきましょう。

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