中学受験における夏期講習の意味:6年生

合格への道

受験学年の6年生において天王山と言われる夏期講習。確かに、この長い学校の無い期間を意味のある時間に出来たなら大きく実力は伸びると思います。しかし、ただ闇雲に夏期講習に参加しただけでは実力は伸びません。最後の学校の無い長期間のお休み、これを意味のある時間にするための見極めの基準とレベルアップの方法をお伝え致します。

算数のカリキュラムの繰り返し

まず、基本のおさらいですが中学受験算数の6年生におけるカリキュラムの基本は『繰り返し』です。
下記のような3周繰り返す構造が定番となっております。

今回は2周目にあたるわけです。

2周目の基準

1周目にあたる7月までの期間は正直言ってそれほどどのコースでもやる内容は変わりません。その訳はそこではしっかり基礎を固めきることが最重要の課題であり、何でもかんでも難しい内容ばかりやれば良いわけでは無いからです。本当の意味で男子最上位進学校の問題のレベルを扱っていくのは夏期講習以降の後期が本番になります。
では2周目に当たる夏期講習での基準は何かというと志望校のレベルによって変わってきます。

①男子最上位進学校

このレベルを目指す場合は全ての単元を夏期講習までで完成することが基準になります。何故なら、後期の平常授業で行う3周目をやっている暇は無いからです。過去問・志望校演習と非常に時間の取られる内容をさらに4科目全てにおいて高次元に固めていかなければならない、それを行うためには平常の内容は授業内で完結させなければ時間的に無理です。基本的に後期の平常後は帰宅後過去問や志望校演習の復習を行うための時間と考えます。最低でも、たまに抜けていた・忘れた内容があったためその数問だけ復習して終わり、このレベルに至っていなければ算数的にはまず届きません。

男子最上位校の算数へ届かせるためには、この夏で全ての単元を完璧に固めることが必要です。

②男子上位進学校、女子最上位〜上位進学校、最上位附属校

上記の男子最上位校ほどには算数で難関さを求められない学校の場合は、全ての単元を完璧にと言うほどは求められないでしょう。イメージ的には、9月以降では平常の帰宅後にその日の内容の内数問行い当日中に終わる、ぐらいになっている状態でしょうか。
基本的な内容ぐらいは全て完璧になっている状態で、応用的な内容はちょっと不安定ぐらいがギリギリのラインだと思います。
場合によっては算数以外の科目、特に女子校ならば国語、が非常に難しいケースがあるため一概に算数だけやっていれば良いわけではないかもしれません。
とはいえもちろん算数の完成度が高いほうが後々楽になることは間違いありません。

③中堅校

このレベルの場合、そもそも前期の段階での学習が不十分で全単元を固める云々の以前の状態であることがほとんどだと思います。この場合はこの夏を算数にほとんどの時間を費やすぐらいの気持ちで臨まれる必要があります。残念ながら算数は科目の特性上すぐに成績が大きく上昇する科目ではないため、この夏に何とか建て直さないとどうしようもない状態のままになりかねません。その場合はもう他の科目で何とかするしかないかもしれません。

レベルアップの方法

それぞれにおいて目指す志望校のレベルを上げることをお考えの場合、可能な方法はたった一つしかありません。
それは、必要な指導のできるフォローを付けてこの夏必死に努力を積み重ねる、だけです。
塾の夏期講習だけではダメなのかというと、高確率でダメでしょう。理由は下記になります。

本当の問題を理解していない

目標に届いていない、でも夏期講習で実力を上げると考えられるご家庭は本当の問題が何かを分かっていないのです。

実力が伸びない本当の問題は、勉強をしている当人です。本人に問題があるため、結果に反映できていないことが続くのです。塾でもなく、内容でもなく、実際に臨んでいる子供の勉強の質や量、意識、考え方などに問題があるのです。これを何とかしない限り、講習を行おうが志望校演習を行おうが結果には繋がりません。厳しい言い方ですが、同じことを繰り返しても同じ結果を生むだけです。

保護者がこの現実から目を背けている限り大きな変化は難しいでしょう。

どれほどの期間塾に通いましたか?

では上記の本人の問題を塾で解決できないのかというと、それも難しいでしょう。
単純な話で、6年生の夏期講習までどれほどの期間塾に通われましたか?2年間でしょうか、3年間でしょうか?
キツイ言い方になると思いますが、それで変わらなかったのです、何故この夏に急に変わるのでしょうか?変わると思われるのでしょうか?

そう望まれること自体は理解は出来ます。しかし、本当にそう思って行動されることはギャンブルで次は当たるんだと買い続けることと大差がありません。子供の人生が掛かっているのです、現実を見据え将来に意味のある中学受験を大人である保護者がまず考えましょう。そのためにも現在の塾以外の要素を加えて変えていかなくことで可能性を作りましょう。

またそれ以外にも構造上、下位層の子供にとても厳しい状況になっているのが現在の塾業界です。

この観点からも、塾だけではレベルアップを図ることは難しいと言えます。

ただし、塾の夏期講習を受けず家庭教師などだけで夏休みをお考えのケースには注意点があります。
この場合は、夏期講習以降も家庭教師のみで進んでいく覚悟を持たなければならないということです。
夏期講習という長い期間を休まれると塾の指導している内容や様子・雰囲気とは子供の意識が乖離してしまいます。それを9月から急に戻したとしても、子供が戸惑い混乱することにしかなりかねません。ですから、もし夏期講習を受けられないとお考えの場合は、残りの期間も含めた6ヶ月間を家庭教師で乗り切ると腹をくくられることを覚悟なさって下さい。

飛躍できる最後のチャンス

上述の通り、この夏休みが最後の学校のない長いお休みです。この時間を意味のある時間として使えば大きく飛躍できるかもしれません。そして、それが出来る最後のチャンスかもしれません。ここでテコ入れを考えることでそのチャンスを掴むことを考えましょう。本来は誰でも正しいやり方で適切に努力をすることで実力は必ず上がります。

最も重要なこと

夏期講習は日本の入試と呼ばれるもの全てにおいて天王山ともいえる重要な期間です。しかし、最も重要なことは別にあります。
それは

重要な夏期講習を受ける

夏期講習を意味のある時間に出来る

そんなレベルに子供を成長させておく

という事です。本当に大事なことはもっと前の段階で成長していくことなのです。天王山を競うレベルになっているからこその天王山なのです。5年生までの子供をお持ちの保護者の方は最後のタイミングでようやく動くのではなく、もっと何とかなる安全なタイミングから中学受験をお考え下さい。これが最も重要な事と言えます。


子供は本来、正しく行い適切に積み上げれば必ず結果に繋がります。
本気で頑張ろうと思うご家庭に、本当に必要な指導を行えることを願っております。

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