算数の実力が上がらない三大○○ない勉強

算数のコラム

私が中学受験に関わり始めて20年近くが過ぎようとしています。当初から感じていた小学生の勉強における問題点をここ10年ほどより強く子供が抱えており、苦しんでいるように見えます。今回はこの問題点を3つに集約して説明させて頂きます。

①人の話を聞かない勉強

もともと子供が最初から講師が示した解法や流れを守って解く練習を積んでくれるとは私も思ってはいません。別に変な意味ではなく、小学生というものはそういう年齢ですから最初から素でこういったことをできる子のほうが圧倒的に少ないのが当然のことです。

しかし、「まず習ったことを反復し解法の意味や流れを理解する練習」が学びでありやるべきことだと指示・指導した後は別です。10年前ほどは指導した後も3分の1ぐらいの子はしぶとくやれなかったイメージですが、現在は多くの子がはっきりと本人に指導してもその通りにやってこない・やれないです。時代の流れや社会の風潮・家庭内での考え方、周辺機器の変化などが原因だとは思いますが、基本的に今の子は人の話を聞いて学ぶ意識がそもそも欠如している子が非常に多いです。
例えば、こんな解き方でしょうか。

非常によくある乱雑に数字が書いてあるだけの解き方ですね。本人はちゃんと解いているつもりですが、大半の子は何となくやっているだけになっており練習とは言い難いです。

大事なことはそれでまともに出来るのかということでしょう。残念ながらそんなことはなく、講師側から言わせてもらうと独りよがりで意味のないことを行っているだけの事例も数知れずです。本来の子供のポテンシャルであれば十分に届くレベルも、こういった独善的なやり方のせいで伸びずに届きません、非常にもったいないとしか言いようがないです。

②見直さない勉強

勉強における見直しは2種類の意味があります。
一つは、テスト時の検算という意味の見直し。もう一つは、普段の学習の中で出来ていない・不十分な内容を繰り返し練習するという意味の見直しです。
成績に多く関わることは後者の見直しですが、両方とも驚くほどの多数の子が行わないです。

はっきり言って当然だと思います。

一度行ったことを確認する、この行為は大人でも正直面倒なことです。私自身も、ミスのチェックとしてダブルチェックなどは必要と分かっていても面倒に感じてしまいます。
では、それ以上に面倒な一度練習した内容でも自分が出来ているか真摯に向き合って自分の出来ていないものを練習することが素で出来るのでしょうか。これが出来る子はほとんどスポ根マンガの主人公です。マンガのキャラクターになるぐらいだから一般的なことではない、一部の子がやれることだと理解して頂けるでしょう。

③成績を伸ばす気のない勉強

意外と思われるかも知れませんが、大人が思うほど小学生である子供は目的を理解していません。このサイトを見られているということは、保護者の中での勉強の目的は中学受験だと思います。しかし本当に子供の目的が中学受験になっているでしょうか。もちろん、本人に問い詰めたら「そうだ」と答えるでしょう。でも、根底からそう思ってやれているように思えますか?

そういった場合、子供の中での最優先は勉強をやったかどうかになっており、中身・クオリティは関係なくなっています。目的が中学受験であるならば勉強は手段であり、目的ではありません。やったかどうかではなく、出来ているかどうかが手段としての評価基準になります。意外に保護者の方もこの点は理解していないことがあり、相談として「勉強をしているがテストで出来ない」と言われることがあります。保護者が理解していなければ、子供が理解していないことは仕方ないと言えるでしょう。

オマケ:そもそも勉強をしない

オマケとして勉強云々という前提を根底から崩す、そもそも勉強をしないという状態です。冗句かと思われるかも知れませんが、一定数の子供は本当に勉強をしてきません。塾に通っているのにです。
思うに理由として考えられるのは
・心の底から勉強をやる気がない
・上記ほどでなくとも、家庭内でのチェックも塾でのチェックもないからやらない
などでしょうか。非常にマズイ状況と思うのですが、結構このまま放置されていることがあるんです。信じられないかも知れませんが、毎年一定数存在します。

結論と解決法

私が感じる小学生という未熟な年齢の子供における問題は、①人の話を聞かない②見直さない③成績を伸ばす気のない勉強をすることでした。これ自体は、なんだそんな当たり前のことを、と思われるかもしれません。ですが大事なことは、何故こうなってしまうのかということでしょう。

誤解を恐れずに言えば、原因は
そもそも子供は素ではやりたいようにしかやらない
ということでしょう。
変な意味ではなく、単純に年齢的に未熟だから仕方がないと思うことも多くあります。
ですが真に根本的な問題は、上記の理由を無視して子供任せになっている環境と言えるでしょう。これは、個人の尊重や権利意識の高まりという社会の風潮が強く影響していると思っています。

その上でキツイ言い方ですがはっきりと言わせて頂ければ、結果の出せない個性や権利意識に価値があるのでしょうか。未熟な小学生と言えども、受験は競争であり闘いです。どうしても最後は結果を出せなければ勝てないのです。この点に関しては受験は大人以上にシビアな一発勝負です。そこに向かいどう勝率を高めていくか、それに向き合うことが出来れば大きな成長をたどることができると私は思っています。頑張った、だけではなく頑張って結果に結びつける事ができた、このような状態に持っていく、それが受験指導だと言えます。

では、具体的に上記のような状態に持っていくための具体的な方法はというと家庭環境を整えることです。
下記のような大人と同じくPDCAサイクルを確保できる家庭環境を作りましょう。

ここで環境として重要になるものはPとCです。子供が実際に行うことは環境ではなく本人の問題です。働きかけは行えても究極的にはこちらが何も手を出せません。だから、DとAを改善するためにPとCを整えます。ではその際に外してはいけないポイントも説明致します。

Pのポイント

プランを作る際に最も重要なことは「目的」から作るという視点です。決して「現状」からではありません。理由としては現在の子供の状態から考えると物事は基本的に達成しえないからです。決して最初から全力のフルスロットルで進み続けるという意味ではなく、志望校が○○中学であるならばその時ごとにこれぐらいは出来ていなければ厳しい、という目的からの達成基準を設けるということです。

Cのポイント

チェックの際の重要ポイントは「入試問題からの逆算」で子供の練習を評価するということです。例えば、一般的に男子よりも算数の問題が簡単な傾向の女子校を志望している子が灘・筑駒レベルの高度な算数の問題演習に時間を割いているなどの場合は間違っているわけです。よほど余裕がある場合は別ですが。
などのように、状況や時期・タイミングなども含めて最終目的である入試から考え必要な内容・取り組み方が行えているかどうかを精査する必要があります。
このチェックは大人である保護者が行う必要があります。本当の意味で中学受験を成功させようと思われるのならば、子供任せにせず子供の問題点を改善することを行っていきましょう。

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