塾に通うからには子供にはできるだけ上位に行って欲しい、ほとんどの保護者がそう考えていると思います。今回は算数において上位層(日能研・四谷大塚偏差60前後、SAPIX偏差55前後以上)に届くためのご家庭で行う家庭学習をお伝え致します。
上位の算数への家庭学習
①課題は全てこなす
まずは何はともあれこれからです。課題とは
・授業の課題
・毎日行う計算や一行問題などの課題
・テストのバツ直し
など授業で課された課題以外のルーティーン系も含めて全てです。これを全てこなします、必ず毎週。
勘違いされないで欲しいのは、授業で扱っていないところまで全てと言う意味ではありません。あくまで課題として課された範囲全てという意味です。
②習ったやり方で練習をする
算数の練習とは問いを好き勝手に解くことではありません。そういうことをしたいならば、どの塾でも算数の偏差値65以上を安定的に取れるようにしてからにして下さい。そこまで行けるならそれはどんなやり方をしても問題ないでしょう。そうでないなら、あくまで練習することは習った解き方です。
③バツの問いの解き直し・作図
実力を伸ばす最短の方法は『出来なかった問いを次には解けるようにする』ことです。
そのための最善の方法はバツの問いの解き直しです。これを徹底的に行うことです。
それと作図です。栄光や渋幕などの作図のような大袈裟なことではなく、図形の単元は自分で図を描きそこに情報を書き込んで解くことです。そうすると何のために何をしているのかがとてもはっきりしてきます。
以上が上位へ届くための算数の方法になります。
当たり前のこと
どうでしょうか、上記の内容を読まれて保護者の方々としてはなんでこんな当たり前のことを言っているんだろうと思われなかったでしょうか。その通りだと思います、上記のどれもが探せばどこかに書いてあるものを見つけられると思います。つまり、学習方法というのは王道でやるべきで特別な方法なんてないという事です。私の今までの経験でも、筑駒や灘に合格するための家庭学習も結局はやっていることに特殊なことはなにもないです(もちろん、教えている内容は筑駒・灘に合わせてはいますけれども)。私もα1コースで校舎トップの子を教えた時に興味があり学習内容を聞いてみたことがありました。取捨選択をして器用にやっているのかと思っていましたが、課題は全てこなしているという返答でちょっと驚いた経験があります。
では何故差が生まれてしまうのでしょうか。
結局ちゃんとやれていないから
簡単な話です、結局は上記の内容を完璧にこなしていないからです。仮に4年生から上記の家庭学習を続けていれば6年後期には安定して上位の成績を修められるはずです。実際に私が自分で塾を運営した際には1年以上指導した子で日能研偏差(当時は日能研の模試を利用したため)で60を切った子はいませんでした。大事なことなのでもう一度言います、実力が伸びない理由は
王道の勉強方法を適切なやり方で
きちんと行えていないから
です。
例えば具体的には
①全てこなす
一定数の保護者から『終わらない』と相談を受けることがあります。しかし『終わらない』のではなく『終わるようにやっていない』という方が正しいと思うことが多くあります。ダラダラと過ごす、一問に多大な時間を費やす、このようなやり方を続ける限り終わるわけがありません。
②習ったやり方で練習する
大事なことは、習ったことは理解できているわけではないという事です。好き勝手さはもう授業中から始まるのです。説明・解説をした問いの類題を解き練習する際にすでに教わった内容ではなく好き勝手にというか正確には雑にやっている子がいます。これでは家庭学習で解き方の練習になる訳がありません。
これは最終的に①とも繋がります。習ったやり方で練習せず理解できない内容が生まれた、だから次の関係する単元で内容が分からず進めなくなる、こうして『終わらない』ということになってしまいます。
結局は人の話を受け入れられる素直さがあるかどうかに繋がると思います。
③バツ直し・作図
バツ直しはやっているんだと言うケースで本当に頭を抱えるのは赤で解説を書くことをバツ直しだと思っているケースです。違います、バツ直しというのはやり方を確認した後、自力で解き直すことです。実際にそれを行ったなら最初の問題を問いた所にペンで書くことなどせず、新しい場所に鉛筆などで解き直すことになるはずです。さらに、次の授業までに再度解き直して自分が理解し定着をしているかまで何度も確認を行うべきです。ここまでしっかり行う子が本当に少ないです。
しかしこの赤で解説写すことは、本当に根強く多くの子供が持っている習慣なんですけども何が理由なんでしょうかね。勉強が出来ない子ほど指導されても注意されてもしぶとくこの習慣を続けています。
作図もしない子がとても多くいる内容ですね。図形はまずは脳内に図形のイメージがあるかどうかがとても重要です。そのイメージを持つには自分で図を描くことがとても良い練習になります。さらにその図に色々と書き込んでいくと形と情報が脳内で繋がり、理屈・仕組みなどが腑に落ちていくのだと思います。こういった説明をしても、でもやらない。
不思議に思うのはノートに解いている子で図形の単元なのにただ数字が羅列しているだけの子です。そういう子ほど内容を確認してみると答えられず理解できていない子が多いものです。
様々な子を通して感じるのは、バツ直し・作図をしない理由は面倒くさいからということが見えてきます。この面倒くさいという理由はとても強固でかつ根深く、全てのやらない理由に関わっていると思います。なにせ、大人も含めた全ての人間が大なり小なり感じるものでしょう。かくいう私も日常や仕事の中で面倒くさく感じ、煩わしく思えるものはたくさんあります。ではこの面倒くさいとどう戦って乗り越えるべきでしょう。
面倒くさいとの戦い方
面倒くさいとの戦い方でベストは子供が戦える環境を整えてあげることです。
上記のような受験に対してどういったことが必要とし、そして自分の現状を自覚できる子供はいません。大袈裟に言えば自ら茨の道に進むことを自意識で出来るのであれば最初から成績は上位層に届きます。だから、周りの大人がそれを整え、確認修正を行ってあげれば良いのです。保護者が出来ない場合は、代わりにフォローできる人材を用意する必要が生まれます。
一番マズイやり方は、「あなたの受験でしょ」と本人任せにしてしまうことです。それは10〜12才のまだ未熟な子供に、本人ですら分かっていないことを自分で何とかしなさいと要求していることに等しいからです。
まとめ
算数を上位層(日能研・四谷大塚偏差60前後、SAPIX偏差55前後以上)に届くようにするのに必要なことは、特殊なことなどではなくやるべきことを正しいやり方でもらさずやり続けるという当たり前のことを行うということです。
そしてそれを行うには保護者が環境を整え、子供が行えるように導いてあげる必要があります。
現状を確認し、成功への道標はまず保護者が理解することから始まります。まずは保護者から第一歩を踏み出しましょう。