算数が入試の合否を分ける理由

算数のコラム

中学受験において合否を分ける大きな要因が算数の出来と言われています。
だからこそ算数は多くの方に重要な科目だと思われています。
では、何故算数が重要なのでしょうか。また、どうしたら合否を分ける算数を伸ばせるのでしょうか。
6年生α1や難関校の志望校別での指導を通して感じたことをお伝え致します。

算数が入試の合否を分ける理由

算数が合否を分ける科目であることは概ね間違ってはいないと思います。もちろん、算数だけで合格できるわけではありませんが算数の得点が他の科目の足を引っ張らない程度には取れないと合格への見通しがとても厳しくなりがちです。現実に毎年の入試の結果でも、算数は合格平均と受験平均の点差が一番大きく出ます。

では何故算数がそれほど合否に影響を及ぼしてしまうのでしょうか。
理由は2つあると思います。

①配点の大きさ

まず言えることは算数の1問ごとの配点の大きさによります。
算数は他科目に比べ問題数が少ないものです。必然、一問ごとの配点も大きくなってしまいます。だからミスをしたことによる減点の度合いが他科目に比べ大きく点差に繋がってしまいます。
だいたい算数の一問ぶんの点数は他の科目の選択問題の点数と比べて2・3問ほど、傾斜配点の場合は4・5問にも相当します。いかに算数のミスをリカバリーすることが難しいのかがわかると思います。

②出題形式

さらに恐ろしいことが出題形式です。現状の入試で「完全記述」スタイルの入試を行っている学校は数えるほどしか無く、ほとんど問題形式は解答のみと数問記述という出題形式になります。
そうなると怖いことに、解答のみの場合、完璧に分かっていながらケアレスミスをしたことと何もわからず空欄にしていることの価値が同じになってしまうという恐ろしいことが生まれてしまうのです。

つまり最後の最後だけでも間違えたら、努力を積み重ねてきた子も怠けてきた子も同じになってしまうのです。この点のシビアさは他科目よりも算数の方が格段に強いと思います。

上記のような2点から、算数の試験は点差が生まれやすく合否の結果を左右してしまう可能性が高いと言えるのでしょう。

算数を伸ばす方法

ではそういったシビアな科目である算数を伸ばし、少しでも志望校への可能性を高めるためにはどうすれば良いのかの方法は


正しいやり方で適切な量の復習を行う

ことです。
当然、皆さん当たり前に思われるでしょうがそれが大きな勘違いです。私が思う理想的な復習を仮に100とすると成績に難のある子供の復習は精々10か20程度です。場合によっては0としか言いようのない内容を復習として考えている場合もあります。
ぜひ理解していただきたいことは「子供が自分の思うことで行う内容は中身が伴わない」ということです。厳しい言い方をしていますが誤解をなさらないで欲しいことは、だから子供が悪いと言っているわけではないということです。これは年齢的に未熟な小学生が行う中学受験という構造上仕方のないものだと思います。問題なのは、そういったまだ未熟な子供に丸投げをしてしまう環境です。

必要なことは正しい努力

成績を伸ばすための勉強は何となく行う勉強ではなく、正しいやり方で行う勉強です。残念ながらほとんどの子が行っている勉強が前者の何となく行っている内容になります。それでは成績が伸びるかどうかはその子の能力に依ってしまいます。

では何故様々な子供が何となく勉強をしてしまうのか、それは子供が正しい勉強の仕方を知らないからです。残念ながら小学校だけでは正しい勉強の方法を身につけることはほぼ出来ません。だから、誰かにきちんと教わるか、自分自身で試行錯誤の上身につけるかのどちらかにほぼなってしまいます。

さらに中学受験のように特殊かつ高度な内容であれば、それに合ったゴールからの逆算で必要な内容を定着させていかなければなりません。それを塾の授業だけで可能ならば自然にトップ層になれることは自明の理です。

6年生の受験直前、最後の最後が勝負なのではありません、その前から準備をしてまず戦いに臨んでいる子達が最後に競い合う資格を得られるのです。まずスタートラインに立たなければ勝負にすら成っていません。
私はこれは子供の責任ではなく、保護者の責任であると思っています。保護者が考えていないと子供が勝負のスタートラインにすら立てなくなってしまうのです。だからこそ保護者の方には真剣に受験についてお考えいただきたいと考えています
改善するにはまず正しい勉強の方法を子供に教えられるフォローです

子供へのフォローの判断

では具体的に子供へのフォローが必要かどうか判断するにはどうすれば良いのか、それは入塾後3ヶ月成績が上がらなければもうフォローを付けなければ難しいと考えるべきです。
進学塾であれば大体月に一度はコース昇降に関わるテストがあり、3ヶ月前後で大きな総合テストがあります。その中で成績が伸びていかなければ子供の独力では中学受験の内容について行くことが難しいということです。それでも志望校に合格しようと思うのならば、子供にゴールからの逆算から必要な内容の指導とそれを定着させるために必要な正しい勉強のやり方を教えられるフォローが必要になります。

塾では駄目なのか?

わざわざ塾に通っているのにさらにフォローが必要なのか?
進学塾が無意味だというのか?
このように仰られる方もいそうですが、塾通いは必要です。むしろメインは進学塾の授業です。逆に塾に通わず家庭教師などのフォローをメインにし受験することは特殊な事情(急に受験することになったなど)でなければ行うべきではありません。その理由は基本的に塾の授業では上記の必要な内容は教えられているからです。
しかし、それをどのように定着させるかを塾は指導をあまりしません。だから教わってきても、それで終わりになってしまいます。だから授業で拾える子は伸びて、拾えない子は伸びないのです。
これは子供が自力でどうにかしろと言われても難しいと思います。何しろ、マンツーマンで教えてもそれでも定着するまでに時間がかかるケースすらあるわけですから。

早ければ早いほうが良い!

子供へ家庭教師などのフォローが教える重要な内容は勉強するための「フォーム」のようなものです。大人風に言うとフレームワークでしょうか。塾の授業で投げられたボールをしっかりこぼさずにキャッチするためのフォーム、テストで投げられてきたボールを正確に打ち返すためのフォーム、こういったことを身につけるためにはできる限り早いタイミングから正しいやり方で練習し続けることが重要です。できる限り!!です。
良くあることですが、6年生の夏期講習後のテストで結果が奮わずそこからあたふたとフォローを探し始めます。これでは遅いのです。本当に目指すレベルが高いのであれば、どれだけ早いタイミングでも無駄にはなりません。最初から正しいやり方で必要な内容を身につけていくことが最も上手くいく方法です。

6年生の個別面談を担当していると、志望校と実力の乖離に5年生などでの後悔などを口にされる保護者の方もいらっしゃいます。ですが我々としてはもっと前の段階からなんとかするべきだと思っています。それこそ小学校に入学してからの勉強の習慣などですら影響を及ぼしているはずです、その場では言いませんが。

だから、真剣に受験について考えているのであれば受験直前よりは6年から、6年よりは5年から、5年よりは4年からテコ入れをして可能性を高めるべきです。

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